不動産売却はキャンセルできる?違約金が発生するタイミングとは?

家を売るつもりだったけど、事情が変わってキャンセルしなければならなくなった。

査定金額が思ったより低いので不動産業者を断りたい。

売却の予定が変わった時に、いつまでならキャンセルできるかご存知ですか?

タイミングを間違えると多額の違約金を請求されるかもしれません。

不動産売却のキャンセルのタイミングと違約金の相場を紹介します。

不動産売却キャンセルのタイミング

どうしても不動産売却をキャンセルしなければならない時に気になるのは、違約金とキャンセル可能かどうか。

大きな取引なだけに心配ですよね。

査定・媒介契約から売買契約を結んだあとまで、違約金が掛からずにキャンセルできるのはいつまででしょうか。

査定後のキャンセル

不動産業者が出す査定は無料ですし、査定をもらったら売却を必ず依頼しなければならないということもありません。

査定後に媒介契約を結ばない、つまり断ってもキャンセル料は発生しないのです。

訪問査定といわれる、現地を不動産業者に見てもらってから査定をもらう方法では出張してもらっている分、断りにくいですが査定を見てからキャンセルしても問題はありません。

そして、査定を複数の不動産業者からもらうことも同じく問題はないのです。

不動産業者の査定の出し方はまずベースに近隣の取引状況をレインズで確認して、ベースとなる金額を出します。

訪問をせずにデータから出した査定は「机上査定」というものです。

不動産業者も査定を出す=媒介契約とは思っていませんし、断られることの多い業界ですから、お断りには割と慣れています。

媒介契約締結後のキャンセル

媒介契約後にやっぱり物件を売却するのをやめたくなった時も同じくキャンセル料はいりません。

ただし、媒介契約を結んでから不動産業者が広告費などすでに経費を掛けていた場合は、その費用を不動産業者は請求することが可能です。
(※一般的に売主が業者へ依頼および承諾した特別な広告費に限ります。)

これは媒介契約書に定められている事柄で、契約を解除したことについては違約金はないのですが、もしも経費を掛けていたのなら、その部分は返還を求めることが不動産業者はできるのです。

不動産業者は成約できた時の仲介手数料から広告費を賄うので、売主都合で媒介契約を一方的に解除されるとただマイナスになってしまいます。

媒介契約で「違約」に当たるのは、専属専任媒介契約と専任媒介契約において、媒介契約を結んだ1社以外に浮気した場合です。

こっそり他社にお願いしてた・・・なんて場合は媒介契約の違反に当たるので違約金が発生するのです。

複数の不動産業者と媒介契約を結べるのは「一般媒介契約」だけですので注意しましょう。

経費を請求されるのは怖い、という人は媒介契約期間の3ヶ月を待つという選択肢があります。

一般媒介契約のみは期間の上限の定めがありませんが、専属専任または専任媒介契約では、契約期間を3ヶ月以内とするのは法令で決まっており、超えることはありません。

しかも媒介契約は自動更新が認められていませんので、売主の知らない所で契約更新されることはありません。

3ヶ月たって、更新のお伺いがきたタイミングで更新をせずに媒介契約を期間満了で終了するというのがスムーズです。

購入申込後のキャンセル

申込まではギリギリ違約金などのデメリットを発生させずにキャンセルができます。

書面のやりとりをするので少し勇気がいりますが、まだキャンセルができるタイミングです。

これは売主からのキャンセルも買主からのキャンセルもあり得るということ。

申込をもらってから売主からキャンセルしたいというのはあまりないケースかと思いますが、買主に不安があるなどの理由で売りたくない場合は、不動産業者に相談しても良いでしょう。

気が変わったという場合は、売買契約を結んだ後は法的な責任が発生しますので、断るなら最後のチャンスです。

いずれにせよ不動産業者はやっと売買契約に結びつくと思っていますので、売主からのキャンセルは困惑することになります。

売買契約締結後のキャンセル

売買契約が成立すると、法的に契約を粛々と進める義務が発生します。

相手方が履行に着手するまでと履行に着手した後では、キャンセルの扱いが若干異なりますが、いずれにせよ金銭的損失が発生します。

まず、「相手方が契約の履行に着手するまでは」契約の解除が可能です。

売主からみたら買主が契約の履行に着手しているか、ということになります。

売主からの契約解除は手付金の倍額を買主に渡し、買主からの契約解除は支払った手付金の放棄(返金されない)が必要です。

手付金は多くても売買金額の20%

だいたい10%、20%といった金額になることが多いです。

手付金が100万円なら、買主はキャンセルをすることは可能だが100万円を諦める。

逆に売主が100万円の手付金を貰っていたのなら、200万円にして買主に渡してキャンセルにするということになります。

ただし買主の住宅ローンがつかなかった、というような場合はローン特約による解除になるので、売主は手付金を返還しなければなりません。

「契約の履行」とは難しい言葉ですが、これが契約の履行である、という明確なタイミングが実はなく、所有権移転登記の申請をした時、残代金の支払いをした時などが該当するとされています。

印象としては、引渡し直前のタイミングで行う手続が履行の着手といわれているということ。

そのため、売買契約を結んでからすぐに(翌日など)やっぱりキャンセルしたい!と思ったのなら、手付金を使った契約解除ができるということです。

ちなみに相手方が履行に着手しているか、が問題なので自分が履行に着手していても相手方が着手していなければ手付金の放棄(または倍返し)で解除可能です。

自己都合で契約を解除をして、自分に不利益があるだけなら、相手方は困らないからです。

まとめると、売買契約を結んだ後~相手方が契約の履行に着手する前であれば、金銭的には損失がありますが契約は解除可能となります。

一方、契約の履行に着手した後は、契約の解除ができません。

それでも売主が家を売りたくない、断りたいといった時は契約の履行を怠ったということで、買主から履行の催告を受けた上で契約が解除される、という段階(契約違反)になります。

これはキャンセルというより、物件を売り渡すという当初の売買契約の違反をして契約解除になるというニュアンスです。

この時の違約金は売買契約の時点で重要事項説明書に「損害賠償の予定または違約金に関する事項」という項目で記載されます。

当事者間で定めることにはなりますが、基本は売買代金の10%~20%が違約金となります。

あらかじめ違約金を定めておき、実際の損害が多くても少なくても、定めた金額を払うことになります。

相手方が契約の履行に着手した段階からは、自分から契約解除できないので、契約違反の上で違約金を払う、という点に気をつけましょう。

不動産一括査定サイト利用のすすめ

不動産売却では、契約成立まではキャンセル料は発生しません。

しかし、一旦不動産業者に査定をお願いしたら断りにくいのも事実。

そんな時に査定をもらうのに便利なのが「不動産一括査定サイト」の利用です。

不動産業者に来てもらったり、店舗に行く必要もなく家の査定が無料でもらえる便利なサイトです。

対面で会う必要がない分、お断りもしやすいですよね。

しかも複数の不動産業者から査定をもらえるので、まだまだ売却するか悩みたい人には特におすすめ。

1社ずつ査定依頼をすると、専属専任媒介契約を勧められて、他社との比較ができなくなってしまう可能性が高いです。

査定の比較をするなら、最初に不動産一括査定サイトを利用しましょう。