家を売る時は、加入している火災保険を中途解約すると未経過分の保険料が戻ってきます。
しかし加入してから一回も火災保険を使ったことがない人も多いのではないでしょうか。
実は台風で壊れていたのに、まだ保険会社に連絡をしていなかったというようなケースでも大丈夫。
家を売る時に火災保険の解約をするタイミングと補償されるもの、保険金の申請について紹介します。
保険契約期間中の解約は還付されるケースも!
家を現金で購入をした場合の加入は任意ですが、住宅ローンを組む時は火災保険の加入が必須です。
購入時に不動産業者または借入先の銀行から紹介された火災保険にそのまま加入した人が多いのではないでしょうか。
長期で加入、一括払いで割引になるので、ほとんどの人が保険料を一回で支払い済みで入りっぱなしのことが多いと思います。
火災保険は家を売却するときに解約すると残存期間に応じて保険料が戻ります。
火災保険等の中途解約は可能
火災保険は長期間で入るので、火災保険期間中に家を売ることもあるかもしれません。
今は最長で10年の火災保険に加入できます。
以前は住宅ローンを35年で組み、火災保険も35年の長期で加入できたため、かなり長期間の火災保険に加入している人も多いことでしょう。
残存期間に応じて保険料が戻る仕組みなので、売却が決まり引渡し時期も確定したら、保険会社に自ら問い合わせをします。
すでに引渡し済みなのに解約を忘れていた、という時も解約時期は遡ることができないので、早めに忘れずに連絡しましょう。
火災保険解約のタイミングは?
火災保険の解約は家を売ると決めたらすぐにしてもいいのでしょうか?売買契約が決まったら?引越しして空き家にしたら?
正解は引渡しが終わってから解約です。
その理由は、買主に引渡すまで売主は建物が壊れた時のリスクを負うからです。
引き渡し完了まで付保
家を売る時は、売買契約から引渡しまでに期間が空きます。
時には1ヶ月以上空くことも。
そのため売買契約から引渡しまでに建物が壊れてしまう可能性があります。
この引渡しまでのリスクを危険負担といい、民法では原則的には買主が負うことになるのですが、これを不動産の売買に当てはめると、例えば売買契約から引渡しまでの間に建物が火災で消失しても買主はお金を払うことになってしまいます。
これでは買主側に不都合が生じますので不動産の売買では特約で、引渡しまでは売主が危険負担を負うと定めます。
つまり引渡しまでに災害などで建物が壊れてしまった時は、売主の責任で直してから引渡しをすることになります。
火災保険は引越しをしたら、すぐに解約をしたくなるところですが引渡しまでは、もしもの時のために火災保険を付保しておきましょう。
一方で、火災保険は所有者が変わってしまうと引き継ぐことができないので、引渡し後に火災保険を付保していてもメリットはありません。
空き家にするから火事の心配はない?
でも住んでいない家で火事は滅多に起きないのでは?空き家で電気もガスも止めているし・・・と考える人もいるかもしれません。
火事は自分で出してしまう以外に隣家からの延焼で巻き込まれてしまう可能性があります。
もらい火なら出火元に補償してもらえるのでは?と考えるところですが、失火法といわれるものがあり、もらい火であっても寝たばこや天ぷら火災のような重大な過失によって起きた火災でなければ出火元の賠償責任を問えません。
日本は木造家屋が密集しており燃え広がりやすかったので、重過失のない延焼は賠償の義務を負わないとする失火法という法律ができたのです。
自分が火事を起こさなければ安心ではなく、火災保険は自衛のためにも必要なのです。
やはり家の引渡しまでは火災保険に加入しておく必要がありそうです。
火災保険を利用して修繕を行ってから家を売る
火災保険と一口にいっても、火災以外にも補償の対象の事故は落雷、風災、水災、盗難、水濡れ、破損・汚損など実はかなり幅広いのです。
補償範囲は加入時に選べますが、火災や落雷が最小の基本プランで手厚くすると盗難被害で家を壊されてしまったり、マンションなら上階からの水漏れも補償される、というような構成になっています。
保険料は最もかかりますが、保険会社によっては破損・汚損という、幅広く家を壊してしまった時に保険金が下りるプランもあります。
この破損・汚損は不注意で窓ガラスを割ってしまったというような自分でうっかり壊してしまった時に使える保険です。
破損・汚損事故の保険金請求は、火災よりも遥かに件数が多いのです。
加入時に選んだプランによって補償される範囲が変わってくるので、売却前に壊れているところはないか、どの補償範囲の火災保険に入っていたか確認するのが良いでしょう。
台風で壊れた
火災以外に代表的な災害は台風のような風災。
強風で屋根が破損した、といったケースです。
昨今は台風の威力も増しています。
台風被害で壊れたままになっているのであれば、火災保険を解約する前に直しておきましょう。
申請は被害発生直後でなくても可能です。
保険法では、損害が発生してから3年間で請求する権利は時効を迎えると定められていますが、保険会社によって請求期限を定めているケースがあるため、なるべく早めに請求するようにしましょう。
水災は不担保にしていることも多い
洪水による床上浸水は水災で対応できます。
ただし、水災は不担保特約で補償外にすることで保険料が安くなるので、水害リスクが低いエリアでは水災不担保にすることが普通です。
想定外の川の氾濫で被害が、というケースもあるので売却前に浸水被害を直す時は、火災保険の加入時に水災不担保にしていないか確認が必要です。
漏水事故もカバー
火事以外にも知っておきたいのが、火災保険は水濡れ事故にも対応できるということ。
例えば給排水管が経年劣化で漏水してしまい、室内に被害が発生、壁紙の貼り替えや床を張り替えたりすることになると補償の対象です。
漏水事故は未然に防ぐことが難しく、故障して水漏れが起きてからの対応になってしまうことが多いので、築年数が古いと意外に出番のある補償です。
修繕工事が完了していても書類が残っていれば請求可能
火災保険の対象になるような事故があったらすぐに保険会社に連絡することが基本ですが、忘れていた、ということもあるでしょう。
実はあとからでも保険金申請ができます。
保険金の申請には、写真など被害に状況が分かるもの、工事の見積などが必要です。
あとから申請すると工事が終わっていることもあるでしょう。
注意点として、保険金は申請すればすべて認められるものではなく、保険会社は工事金額の相場を持っています。
そのため見積が妥当な金額であるか確認しています。
見積が相場よりも高すぎたりすると支払われる保険金が減額されたりします。
また修理は同等のもので直す、というルールがあるので、売却前に直すなら見栄えを良くしておこうとグレードアップした工事をすると、差額分は保険金が下りません。
家を売るならまず査定
保険金を使って建物の修繕をし、不安要素を取り除くことで家を売ることに前進できます。
そして不動産を売却するための第一歩は家の価値を知ることです。
「家の価値を知る」=「査定をもらう」には無料の不動産一括査定サイトの利用が便利です。
査定は不動産業者によって差が出ます。
1社ずつ問い合わせて査定をもらうのは大変ですが、不動産一括査定サイトでは一度に数社の査定がもらえるので、この段階では比較をしてみることをお勧めします。
いくらで売れるか、早く売れるかは不動産業者にかかっています。
専任媒介契約では契約する不動産業者は1社しか選べません。
金額だけでなく、担当者の知識は豊富なのか、査定額の根拠などを比較することで自分にあった不動産業者を見つけることができます。