建物を建てることを制限されている市街化調整区域というものがあります。
原則的に建物を自由に建てることができず、建築許可が下りる建物も限られます。
街づくりをしないと定められた地域のため、不動産の価値が低く見られることも。
市街化調整区域の果たしている役割や市街化調整区域にある家を売る方法を紹介します。
市街化調整区域とは?
都市計画区域は場所によって市街化区域と市街化調整区域、そのどちらにも指定されていない非線引き区域に分けられます。
市街化区域は文字の通り、建物を建て、街づくりをしていこうという地域。
住宅も多く、インフラの整った商業施設がある街中を想像してもらえれば良いでしょう。
市街化調整区域はその逆で、建築を制限して街づくりを控える地域です。
街中の逆、田園風景の田舎を想像してください。
市街化調整区域の土地は主に農業や林業、漁業などを行うことを目的としており自然を残しておきましょうという場所です。
つまり、意図的に都市化をさせないという場所です。
しかし市街化調整区域は山奥にしかないというわけではなく、住宅が並んでいるすぐ裏は田んぼしかない、そういった場所も実は市街化調整区域かもしれません。
例えば東京都は市街化区域が多いですが、市街化調整区域がないわけではありません。
市街化区域の中に市街化調整区域がちらほらあるのです。
市街化調整区域では家の新築や増築が許可制になっており、これを開発許可と呼びます。
住むことが絶対にできないという訳ではありませんが、場所によっては上下水道のようなライフラインの整備が遅れていたり、売買する上で自由に建てられない・利便性が悪いというデメリットがあります。
さらに市街化調整区域内の農地を宅地に転用したい場合は、これも許可制のため売却のハードルを上げています。
市街化調整区域で建築が許可される基準は都市計画法第34条に定められています。
主に生活で必要な商店、鉱物資源や観光業で必要な施設、農林水産業の加工施設、地区整備計画内で計画の内容に適合するもの、生活に必要なガソリンスタンド、市街化調整区域内の既存の工場の関連施設などは許可がされることがあります。
また、公益上必要な建築物は許可が不要ですし、市街化調整区域は自然や農地を残すという目的ですから、農林漁業者の自宅や農林漁業で使用する建築物のように従来の目的を果たすような場合は開発許可が不要になります。
一口に市街化調整区域といっても開発許可を得て、家を建てられる場所、開発許可が下りない場所、農林漁業に従事するのであれば自宅を建てられるなど細かく定めがあるのです。
市街化調整区域に建つ家を売る注意点
家が建てられない土地は売却が難しくなります。
そのため土地の評価も市街化区域と比べると低くなるので住宅ローンにも影響があります。
市街化調整区域にある家を売却する注意点は3つです。
再建築可能か自治体へ確認が必要
市街化調整区では家を建てることが難しいですが、自治体によって条例で建築許可の基準を緩和していることがあります。
ただ高さ制限があり、マンションなど高層の建物は建てられません。
また基準が緩和されていると言っても市街化調整区域内のどこでも家が建てられるわけではなく、市街化区域に近く、ある程度住宅が固まっているエリアであれば建築の許可が下りる可能性が高くなります。
市街化調整区域でも開発許可が下りるのであれば、まだ売却価格にも期待ができますが、住宅を建築する開発許可が難しい場所であれば、取引価格は残念ながら下がってしまいます。
マイホーム用の土地を探している人よりも、農家に買ってもらったり、法人の買い手を探す方が良いかもしれません。
売却に時間がかかる
市街化調整区域で土地を探している人は少ないです。
特に開発許可が下りない場所となると、さらに不利です。
需要が少ない分、売却には時間がかかることがあります。
求めている人が少ないので、焦って売り出し価格を下げるよりも時間はかかるものと考えましょう。
担保評価が低いと住宅ローンがつかない
市街化調整区域は、市街化区域に比べると制限が多いです。
住宅ローンは担保評価という審査基準があり、不動産の価値によって融資できる金額も変わります。
万が一住宅ローンが返済してもらえなかったときは、金融機関は抵当権をつけた担保不動産を売却するため、お金に見合った価値があるかが融資の条件なのです。
例えば市街化区域の駅前の土地であれば担保評価も高くなりますが、利便性が悪く建築の制限もある市街化調整区域の土地は担保評価が低くなってしまい、その結果、住宅ローンがつかない可能性があるのです。
売買価格は売りたい人と買いたい人の気持ちで決まるものなので、担保評価が低くても高い金額で買いたい人がいれば売れることもあります。
担保評価と売買価格は一致するものではないので、住宅ローンがつかない、または融資金額が売買価格よりも低いということはよくあることです。
市街化調整区域の家を売る方法
市街化調整区域は、説明した通り、自宅を建てるのに向いていません。
許可が下りなければ、買っても家を建てることができないかもしれないのです。
そこで買い手にお勧めなパターンが2つ。
農家や事業者へ売却
市街化調整区域は市街化区域のようにライフラインが整っているところばかりではありません。
市街化調整区域内でもまだ市街化区域から近い土地で、ライフラインが整っており住宅が立ち並んでいるエリアは家の建築が許可される可能性があるので、売却価格や買い手も比較的見つかりやすいですが、市街化区域から離れると家の建築の開発許可は下りなくなります。
開発許可が下りないような土地を売りたいのであれば、開発許可が不要、または開発許可が下りる人に売却することを考えてみましょう。
市街化調整区域の目的は自然を残したり、農地を確保することでした。
まず農家の自宅であれば開発許可が不要なので、農家の人に買ってもらう方法があります。
また、開発許可が出る施設には農産物などの加工や貯蔵施設、すでに市街化調整区域内で工場を稼働している時の関連施設などもあります。
家を建てるのではなく、事業を行うための土地として売却先を探すのはいかがでしょうか。
市街地から離れているのであれば、事業者に買ってもらうのも有効な方法といえそうです。
隣人へ売却
市街化調整区域に家を建てて引越したい人を探すのは大変ですが、隣人に売却するのであれば話がまとまりやすいかもしれません。
隣地を購入するメリットは、接道が良くなる、土地の形状が良くなる、間口が広がるといった点。
土地がまとまった大きさでなかったり、形状が悪くても隣地と地続きになることで使いやすくなるかもしれません。
特に袋地が解消されたり、接道されておらず再建築不可だった土地が解消されるような隣地の売買であれば、第三者に売るよりも隣人にはメリットが大きいです。
市街化調整区域は取引価格も下がりやすいので、隣人に買ってもらうことで少しでも高く売れる可能性が出てきます。
「不動産一括査定サイト」を利用して売却
市街化調整区域の土地は制限があり、取引には専門的な知識が必要になります。
同じ市街化調整区域内でも建築の許可が下りる場所と下りない場所があり、簡単には判断ができません。
開発許可が下りる下りないでも売却のしやすさや価格は随分変わってきます。
売却のためにはまずは不動産業者探しです。
不動産業者探しに使えるサービスは簡単に査定までもらえる「不動産一括査定サイト」の利用がオススメです。
サイトから査定依頼を1回するだけで複数の不動産業者の査定が取り寄せできます。
市街化調整区域で開発許可が必要なことは、重要事項説明にも関連する重要な事柄です。
査定をもらったらどういった売り出し方をするか不動産業者の意見を聞いてみるのが良いでしょう。