家を売る最後の手順はいよいよ引渡し。
売買契約では引渡し日があらゆる締切となっています。
買主は残代金や住宅ローンの実行を行う、売主は抵当権のない家を確実に買主に引渡す責任があります。
売買契約では引渡しまでにできない=違約となります。
引渡しまでに行うこと、引渡しの時に行うことをまとめました。
引渡しとは?
引き渡しとは、家の代金をすべて貰ったタイミングで所有権移転登記を行い、買主に物件を渡すことです。
売買契約でいつを引渡しにするか買主と決めます。
買主が住宅ローンの手続きを行う場合は、最低でも1ヶ月程度は先で引渡し日を設定します。
引渡し日をもってあらゆる権利や義務は買主へ移動します。
例えば、固定資産税は法律的には1月1日時点の所有者に1年分の支払い義務があり、一旦納めたら終わりですが、不動産を売買したときは引渡し日で区分して売主と買主の間で日割り計算して清算することが慣例になっています。
他にもマンションなら管理費や修繕積立金、駐車場代がかかってきますが、これらは管理組合とは日割り計算はできませんが、売主と買主の間で精算することになります。
さて、引渡し当日の動きとしては、売買代金を振込で売主に支払うため、銀行で不動産業者、司法書士、買主と売主が集まってすることが多いです。
買主から売主へ売買代金の支払い(融資の実行)、着金が確認できると所有権移転登記をします。
住宅ローンの抵当権が付いている場合は、売買代金を使って全額返済すると抵当権の抹消ができるので、こちらも同時に行います。
実務的には委任を受けた司法書士が引渡し当日に売買代金が支払われたことを確認して、登記申請を行うことになります。
家を売る最後の手順は所有権移転登記です。
登記申請をすれば、家の売却が完了したことになります。
また、仲介手数料も引渡し完了後に残りを不動産業者に支払い、媒介契約も完了します。
引渡しまでに済ませること
引渡し当日は、残金の決済と登記申請がメイン。
引渡しまでに書類や物件の確認を終えましょう。
抵当権抹消の準備
司法書士に委任することが多いです。
住宅ローンを全額返済すると抵当権は抹消できます。
注意点として、完済しても抵当権は自動的にはなくなりません。
また、銀行が抹消してくれるわけでもないので、所有者が自分で手続きをしなくてはなりません。
買主からの売買代金で返済する予定の場合は、抹消するのが引渡し当日になるのであらかじめ書類を準備しておきます。
引渡し日に住宅ローン全額が返済できないと抵当権も抹消できず売買が成立しません。
登記関係書類の準備
家の売買契約書は必ずしも実印である必要はありませんが、司法書士へ委任状など登記関連の書類は実印が必要になります。
住宅ローンを売却と同時に返済、抵当権も抹消することになると、所有権移転登記と同時に申請することになります。
抵当権の設定では債権額に応じて登録免許税が変わってきましたが、抹消の登録免許税は1つの不動産につき1,000円と決まっています。
なお、土地付きの一戸建てなら土地と建物という扱いなので2,000円かかります。
また登録免許税とは別に司法書士の報酬がかかります。
所有権移転登記をするために売主が用意しておく書類は次の通りです。
- 登記識別情報(権利証)
- 印鑑証明
- 住民票
なお、登記記録と売主の現住所が異なると本人確認にならないため、登記記録の所有者の住所を現住所に変更する登記を所有権移転登記の前にすることになります。
また権利証が見当たらないという方は、権利証を紛失しても家を売る方法!権利証と登記識別情報の違いとはをご覧ください。
新居は購入?賃貸?
引越し先の新居も購入にする場合は、住宅ローンを借りることもあるかもしれません。
ただ2本同時に住宅ローンを借りるのは、審査が厳しく年収が高くなければ借りられない人がほとんどです。
住み替え(買い替え)ローンというものもありますが、売却と購入の決済日を同日にしなければならず、スケジュール管理が厳しいので仲介で家を売りたいのなら、あまりおすすめではありません。
余裕があれば売却する家の住宅ローンは完済してから、新居の購入をしてダブルローンは避けた方が良いです。
さらに抵当権の抹消までしておけば引渡しの際の手続きが1つ減ります。
引越し
引渡しまでに余裕を持って引越しをします。
その際にライフラインの解約も忘れずに行いましょう。
ただし売却前に引越し先が決まっており、早々に空き家にする場合は、ライフラインも早目に解約したくなるところですが、内覧(内見)や清掃に使ったり、水回りの封水切れも心配なので、水道と電気はしばらくは残しておくのをおすすめします。
越境の現地確認や付帯設備の現地確認
家の引渡しの状態確認は念入りに行いましょう。
一戸建ての場合は、隣地の所有者と境界を確認して、引渡し後に問題にならないように注意が必要です。
植栽の枝が越境している、ブロック塀が越境しているなどはよくある話です。
枝くらいであれば切り落とせば済む話ですが、越境物が建物や塀を壊さないと取り除けない場合は、隣地所有者との間に越境があることの確認や再建築時に撤去するといった取り決めがされていることがあります。
この取り決めが買主に引き継げていないと揉める原因になります。
隣地所有者との間に越境についての覚書がある場合は、買主に説明や内容を引き継いでもらうことを忘れないようにします。
新たに越境が分かった場合も、買主に引渡すまでに解決しておくためにも境界確認は早めに行った方が良いでしょう。
ちなみに境界の調査や測量を新たにする場合は、不動産業者ではなく土地家屋調査士が行います。
次に家の中も確認が必要です。
例えば照明は付けたまま引渡すのか、エアコンは?給湯器や床暖房の故障はないか?という細かな点です。
不動産の売却は現状引渡しですが、故障しているのを知らせずに不要品等をそのまま買主に引渡すのはトラブルの元。
トラブルにならないためにも、引渡しまでに故障していることや付けたまま引渡すものは買主に確認してもらいます。
現地で不動産業者、買主、売主の三者で立会い、付帯設備確認表を作り、設置の有無や状態を記録して確認してもらいましょう。
取扱説明書など引き渡す書類の確認
取扱説明書や家の図面は出来る限り渡せるようにします。
特に家の新築時の検査済証は同じものは再発行できません。
検査済証は意外に出番のある書類です。
設計図面も施工業者やディベロッパーが一定期間は保管していてもいつかは破棄されてしまいます。
手元にあるものを買主に引渡してあげるのが良いでしょう。
マンションでは設計図面は1住戸ごとにはないでしょうから、販売時のパンフレットの図面があれば引き渡すと良いでしょう。
引渡しまで安心して任せられる不動産業者を探す方法
家の売却は内見や売買契約が山場のようですが、契約してから引渡しまでにはやる事も意外に多いもの。
引渡しにはミスが許されません。
当日に慌てないためには、抜けがないようにしなければなりません。
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